JA 全国相続相談・資産支援協議会および同チームの設置について/ JA グループ全国4連

JA グループ全国4連(JA 全農・JA 共済連・農林中金・JA 全中)は、JA グループ相続相談強化方針にもとづき、「JA 全国相続相談・資産支援チーム」を設置し、JA の相続相談業務を支援するための連携を強化し、全国方針の普及、JA における相続相談業務の体制整備や生前の相続相談機能の強化に資する支援を展開します。

目次

Ⅰ.背景と目的

組合員の高齢化に伴い、JA に寄せられる相続相談の件数は増加する一方、組合員の生前の相続相談や事業承継支援に取り組んでいるJA は限定的な状況であり、現世代との関係構築が不十分かつ次世代とも接点が持てないなかで相続が発生することで、組合員の減少や事業基盤の流出につながっています。さらに、令和5年4月から相続土地国庫帰属制度が創設され、令和6年4月から農地を含む不動産の相続登記が義務化されるなど、組合員の資産管理や事業承継に関わる環境も変化しています。

これら環境変化等に対応すべく、現在の組合員および次世代が安心して相続を迎えられるとともに、地域の営農が継続されるよう、全国4連(JA 全農、JA 共済連、農林中金、JA 全中)は、令和6年5月に「JA グループ相続相談強化方針(以下、全国方針)」を策定しました。

全国方針に基づき、JA における相続相談業務の体制整備や、事業承継をはじめ生前の相続相談機能の強化、および、全国4連が連携することで相乗効果が期待される施策等による支援を強化するため、全国4連の役員を委員とする協議会、および、各団体の担当者をメンバーとする支援チームを設置することとしました。

【JAグループ相続相談強化方針】

【ビジョン】

 組合員の相続相談ニーズを確認し、JA が総合事業力を発揮することで、組合員が望む資産(農地等)の適切な維持・管理や確実な事業承継を実現する。
 これにより組合員次世代がJA の利用を継続することでJA の経営基盤が維持されることをめざす。

【3つの基本方針】

II. 取り組みの経過

相続相談強化について、全国方針の普及・実施に向け、JA・県域の体制整備支援を中心に取り組みをすすめてきました。

1.令和6年度の取り組み

令和6年度は、策定した全国方針のもと、全国 4連による「相続相談支援連絡会」を4月に設置し、以降、月次で連絡会を開催して以下の取り組みをすすめてきました。

  • 6月に、県域の連合会・中央会の相続関連業務の担当職員(管理職含む)を対象に、全国方針の内容にかかる全国説明会をオンラインで開催
  • 10 月に、JA における体制整備や相談業務構築に向けた「相続相談強化ガイドブック」を全国4連連名で作成し、全国のJA・県域向けに提供
  • JA・県域の担当役職員向けに、全国方針の内容や、体制整備・業務内容検討時の留意点解説等を中心とした支援実施(15 県域)

2.相続相談強化の手引きの作成・提供

令和7年3月、JA の相続相談の現場で担当職員が実際の案件対応に活用するための「相続相談の手引き」を全国4連連名で作成し、全国の JA・県域向けに提供しました。

相続にかかる入口相談機能や専門的な相談機能を担うJA の担当者が、農地・不動産を保有する組合員の立場に立って、相続相談を行うための相続全般の基礎知識と対応方法のポイント等について整理した資材としています。

Ⅲ.令和7年度、協議会及びチームの設置・運営

全国方針の普及・実践に向け、令和7年度以降の4連の連携強化の枠組みとして、各連の役員・部長による「JA 全国相続相談・資産支援協議会(以下、支援協議会)」、課長・担当者による「JA 全国相続相談・資産支援チーム(以下、支援チーム)」を設置・運営していくこととしました。

1.JA 全国相続相談・資産支援協議会等の運営

(1) 設置目的

全国各連合会の相続関連施策を共有するとともに、全国4連が連携することで、相乗効果が期待される施策等を検討・実践し、全国方針に掲げる以下の取り組みを加速します。

  • 全 JA で相続相談の担当部署を明確化し担当者・管理者を配置
  • 地域実態に応じた相続支援(資産管理中心の都市部と農地・営農の承継中心の農村部)を実施
  • JA の相続相談を県域・全国域が支援するJAグループ一体となった実践

(2) 構成員

全国4連の相続関連業務の担当役員、および、部長

(3) 実施事項

全国4連が連携して取り組むことで相乗効果が期待される施策等の検討・実践および進捗管理

  • JA の相続相談にかかる体制整備と業務支援策
  • 都市部・農村部の各々の地域に有効な相続関連施策

2.JA 全国相続相談・資産支援チーム

(1) 設置目的

協議会の実務機関として支援チームを設置し、相続相談等にかかる具体的な業務・検討をおこなう。

(2) 構成

全国4連の相続関連業務の担当職員(現行の全国相続相談支援連絡会、および全中まちづくり資産管理情報チームは発展的に解消)

(3) 実施事項

  • JA の相続相談体制の立ち上げ支援にかかる取り組み
  • 相続にかかる専門相談等の恒常的支援にかかる取り組み

IV. 令和7年度、全国相続相談・資産支援チームの取り組み

1.立上げ支援

全国方針の普及・実践に向けて取り組むにあたり、現状は組合員の生前の相続相談や事業承継支援に取り組んでいるJA は限定的であることから、まずは立ち上げ支援に取り組みます。

(1) 相続相談強化にかかる啓発活動

「JA グループ相続相談強化方針」「相続相談強化ガイドブック」等を活用し、県域・JA における会議・説明会等の開催を講師の派遣等により支援します。

(2)県域・JAにおける体制構築の支援

全県域に対して、県域+モデルJAの方針策定・体制構築等、個別に支援します。モデルJAの横展開に取り組む県域の取組みを支援・拡大することで、全国的な相続対策の進展につなげていきます。

(3)相続支援メニューの提供(含む新規開発)

総合事業としての対応力発揮に向け、各連合会・中央会の提供する既存の相続相談支援メニュー(事務手続きや資材、研修等)について整理し、組合員の利便性と業務の効率化を目指し、連携を図って一元的に提示します。そのうえで必要なサービスを研究・開発し、図っていきます。

2.恒常的支援

相続相談業務をともにすすめるパートナーとして、専門相談の実施、情報提供、研修会の開催に取り組みます。

(1)専門相談の実施(全国ヘルプデスクの運営)

全国方針の普及・実践に向けて取り組むにあたり、全国のJAからの専門相談ニーズが高まっており、これに応えるため、支援チームでは「全国ヘルプデスク」として、経験豊富な専門家の方々で構成するサポート体制を構築し、JAにおける相続相談業務の強化を図ります。この他、今後必要とされるチームの編成(例:農地・事業承継チーム)についても、検討しています。

■ 相談内容
(1)相続・資産管理にかかる税務・法務相談
(2)土地活用・不動産鑑定等にかかる税務・法務相談
(3)その他、(1)(2)に関連する相談
■ 相談料
 ・無料(情報誌の購読団体に限る)。ただし、相談内容の難易度、労力、検討時間の多寡等により、別途相談料を負担いただく場合もあります。
■ 相談方法
 ・支援チーム宛て(ja-machizukuri.s@zenchu-ja.or.jp)にメール
 ・ホームページに設置した「相談フォーム」
 ※電話およびFAXでの相談は原則受け付けません。
 ※顧問税理士、弁護士、不動産鑑定士、宅建士等への直接相談は認めません。
■ 回答方法
 ・支援チームから直接回答します。

(2)情報提供

①JA相続相談・資産サポート情報

これまで、全中(JAまちづくり資産管理情報チーム)が発行してきた『JAまちづくり資産管理情報』から、全国のJAの相続相談や資産サポートに関わるJA担当者向けに、支援チームが『JA相続相談・資産サポート情報』としてリニューアルし、発行していきます(毎月20日発行・A4判・50ページ程度)。

相続税をはじめとした納税対策や土地保全・活用を含めた総合的な相続相談体制の強化に資する総合情報誌として、全国連の施策やJAの取り組み事例の紹介も交え、JAの担当者にとってより一層役に立つよう、内容の充実と情報発信の強化を図ります。

相続相談担当者にとって必読と言える情報誌ですので、ぜひ支店ごとにご購読ください。
なお、本誌の購読者を対象に、支援チームの専門家による相談を無料で実施します。さらに、各種研修会受講料の割引や購読者限定HPでの情報提供についても検討しています。

◎最新情報の提供
 行政の動向、税務・法務の制度改正、不動産市況をはじめとした各種統計情報、先進的なJA の取
り組み、JA グループの取り組み方針などをいち早く掲載。
◎実務に直結する知識をわかりやすく解説
 顧問の弁護士・税理士・不動産鑑定士等が、Q&A や実例紹介を通じ、実務への従事にあたってお
さえておきたい知識を解説。法務・税務・土地活用の個別相談も実施。
◎相続相談、事業承継関連・都市農地貸借関連の情報発信を強化
 重要性が増す相続相談や事業承継支援、近年事例が増加している都市農地貸借について、JA の取
り組み事例等を紹介。
◎ JA や各事業連の相続相談業務の取り組み事例を紹介
 日頃の相続相談業務(事業承継含む)に役立つ情報として、JA の取り組み事例や県域、全国域の
施策を紹介。
(毎月20 日発行・A4判・50 ページ程度)

②JA相続相談・資産サポート情報 購読者ホームページ

購読者用ホームページにつきまして、これまで『JAまちづくり資産管理情報』として運営してきたホームページを、『JA相続相談・資産サポート情報』のホームページとしてリニューアルし、利用者同士の情報交換を促し、情報誌に掲載した内容の一層の活用を図るよう、運営していきます。

ホームページでは、毎月の情報誌の記事を掲載し、図やイラストもカラーでご覧いただけるほか、一部の手引きや事例集を無償で公開します。そのほか、一部研修会のオンデマンド配信を行います。

なお、従来の『JAまちづくり資産管理情報』の、バックナンバーは引き続き閲覧することができます。

③組合員のための資産サポート塾

組合員に配布する資材が欲しいとの要望に応え、毎奇数月に組合員向け情報誌『組合員のための資産サポート塾』を発行します。

JA相続相談・資産サポート情報で連載を行っている法務・税務相談を中心に、組合員の関心が高いテーマを厳選してお届けします(毎奇数月発行・A4判・4ページ)。

④各種推進資材

JAにおける相続対応等相談業務の展開支援や、組合員に対する情報提供を目的として、昨年度次表のとおり資材を作成しました。また、各事業連が現在提供している相続関連資材は次図のとおりです。

引き続き資材を作成していくとともに、今後協議会においても、JAの相続相談の現場でお役立ていただける推進資材を順次作成、提供していきます。

資材(書籍)名対象
令和6年度版  これだけは知っておきたい税制改正 Q&AJA 職員・組合員
令和6年度版  JA 相続税対策シートJA 職員・組合員
改訂版  組合員のための遺言・生前贈与活用ガイドブック組合員・JA 職員
改訂版  組合員のための相続税読本組合員・JA 職員
改訂版  JA 役職員のための農家相続相談「虎の巻」JA 職員
都市農業関連制度 Q&AJA 職員
相続・事業承継支援対策の手引きJA 職員
事業承継の手引(家族経営版/法人経営版)JA 職員
相続発生後の初動対応マニュアル・事業総合型相続手続依頼書様式JA 職員
改訂版  JA 資産管理事業契約書書式例集JA 職員
売買賃貸借トラブル&法務相談事例集JA 職員
体験型農園の開設・運営の手引き(改訂版)JA 職員
都市農業における次世代総点検運動啓発動画「都市農業を次代へつなぐ」JA 職員・組合員
都市農業関連制度解説動画「都市農業初任者ガイド」JA 職員

(3)研修会の開催

①研修会

全職員向けの基礎研修動画を作成し、10月に公開予定です。また、県担当者会議(6月)及び役職員向けトップセミナーを9月に開催予定です。

相続相談担当者向けの研修会については、次表のとおり予定しています。令和7年度は、JAグループの皆さんの顔がお互いに見える交流の場となるよう、すべての研修会を実開催とします。また、少しでも多くの皆さんが参加しやすいように、WEB受講と録画配信(オンデマンド配信付き)を併催します。現場に役立つ研修会とするために、最新情勢・動向の発信に努めます。

このほか、現在各全国連が実施している研修会への他部門職員の受講について、令和8年度からの受講に向け、順次調整を進めていきます。

【令和7年度 JA 相続相談・資産サポート 研修会等日程】

項目(研修会)内容開催日
相続相談・資産支援 基礎研修会相続相談対策の目的、関連法令や税制、諸制度の基礎知識4月22日(火)
~ 24日(木)
令和7年度
税制改正研修会
7年度税制改正の内容とポイントなど5月15日(木)
相続税研修会Ⅰ民法と相続税法の基礎、納税スケジュールや相続税額の計算方 法、農地等の納税猶予5月21日(水)
~ 22日(木)
相続税研修会Ⅱ相続税特例と複雑な計算例、土地の財産評価、相続税試算演習 や最近の税制改正の留意点6月11日(水)
~ 12日(木)
相続相談実務研修会相続相談のすすめ方やトラブル回避の相続法務7月9日(水)
~ 10日(木)
資産支援研修会Ⅰ
―売買媒介―
土地売買媒介実務の最新情報・法務と紛争事例等8月27日(水)
~ 28日(木)
資産支援研修会Ⅱ
―土地活用―
土地・賃貸住宅管理運営実務の最新情報・法務と紛争事例等9月10日(水)
~ 11日(木)
②通信教育

各機関と連携し、担当職員の能力向上に資する通信教育を斡旋します。

名称主催開催時期
FP 養成コース通信研修全国共済農業協同組合連合会 全国農業協同組合中央会年3回開講 (7月、11 月、3月)
宅地建物取引士資格取得通信講座㈱住宅新報社・日建学院4月~
③検討会

相続業務に必要な情報を共有し、グループのつながりを強く築き、組合員への相談業務を強化していくことを目的として開催いたします。

名称内容時期開催形態
相続相談業務等検討会相続相談等業務の実務に関する 知識の習得と意見交換5月27日(火) 11月19日(水)実開催
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