JA 全中 総務部 役員室 課長(営農・担い手支援部 担い手支援課 前課長) 宍戸 大輔
JA グループ全国4連による相続相談等の専門情報誌「JA 相続相談・資産サポート情報」が、この度、晴れて創刊しました。
タイトルに「資産サポート」の文字を冠したとおり、本誌は相続相談のみならず、JA の資産管理事業や、組合員のライフプランサポート全般にかかわる情報も掲載してまいります。
当然ながら、組合員が日常生活で抱く悩みや困りごとは、相続だけに限りません。保有する農地(土地)をどのように有効活用しようか、農地を農地として残すためには何をすればよいか、家族が幸せに暮らすには手元の資産をどのように生かせばよいか、などなど、組合員の資産に関する相談は様々で尽きることがありません。
JA グループは、これまでも、それらの困りごとの一部に対し、信用事業や、宅地等供給事業、資産管理事業等による資産活用の提案・相談で応えてきました。そうして得てきた知識やノウハウは、JA グループの貴重な知恵となって蓄積され、本誌の前身の「JA まちづくり資産管理情報」などを通じてグループに共有されてきました。
本誌は、そのようなJA グループの先輩や仲間たちの貴重な蓄積のうえに、成り立っております。現在は、組合員のライフプランサポートの中でも特に、その最終コーナーにあたる相続相談が重要課題になっています。全国の多くのJA が相続を契機として組合員の次世代層の流出、ひいてはJA の組織・事業基盤の流出に悩まれています。一方で、先述のとおり人生の悩み事に対し相談や提案を行い、組合員からの信頼獲得と次世代層との関係構築に成果をあげてきたJA も、少なくありません。
本誌では今後も、全国に先駆けて相続相談等の相談業務に励まれているJA の事例や、専門的な相談内容に関するお役立ち情報などを発信してまいります。また、JA グループ全国連が提供する研修会や資材等の情報も、積極的にお届けすることで、現場の実務担当者の人材育成などにもつなげていきたいと思っております。全国の相続相談と資産サポートに取り組み悩まれるJA にとっての「灯台の灯り」となれるように、チーム一丸となって刊行してまいる所存です。
最後に、このようなことを書いておきながらですが、今回が小職の本コーナーの最後の執筆となります。令和5年8月より全中担い手支援課長を拝命し、前身の「まちづくり資産管理情報」時代より計20 回執筆してきました。その時々で相続相談や資産管理、都市農業など、様々なテーマで書いてきましたが、振り返れば各回とも通底していたのは、相談業務こそがJA グループの活動と事業の基軸だという思いです。
相談業務は、必ずしも直ぐさま収益に結び付くことばかりではありませんが、孟子の「先義後利(せんぎこうり)」のとおり、いつかは必ず組合に何かの形で還ってきます。この言葉は、小職が入会してすぐ、当時の顧問弁護士から授けていただいた教えでもあります。今は亡き恩師の教えを少しでも広めたいという思いで、この仕事に取り組んで来たようなところがあります。これからが開花期、というところでチームを離れるのは誠に残念ですが、今後のJA グループの相続相談強化が結実することを、陰ながら応援してまいりたいと思います。2年間、ありがとうございました。