730.立退料を貰った人

JAまちづくり資産管理情報 顧問 税理士  柴原 一

私が借りている居住用の賃貸アパートが建て替えることになり、立退料を貰いました。申告する必要はありますか。

立退料は所得税の課税対象ですが、その内容により所得区分が異なります。

1.立退料

事務所や住居などを借りている個人が、その事務所などを明け渡して立退料を受け取った場合には所得税法上の各種所得の金額の収入金額になります。立退料は、その中身から次の3つの性格に区分され、それぞれその所得区分は以下の通りです。

①資産の消滅の対価補償としての性格のもの
家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額は、譲渡所得の収入金額となる
 例・・・借家権の譲渡としての立退料
②収入金額または必要経費の補填としての性格のもの
立ち退きに伴い、その家屋で行っていた事業の休業等による収入金額または必要経費を補填する金額は、事業所得等の収入金額となる
 例・・・休業補償としての立退料
③その他の性格のもの
上記二つに該当する部分を除いた金額は、一時所得の収入金額となる
 例・・・居住用の建物の立退料

今回のケースでは、③の一時所得に該当します。一時所得の計算は以下の通りです。

一時所得 = 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除(最大50万円)

さらに一時所得は、総所得金額を求めるために給与所得などの他の所得と合算する際に、1/2を乗じて合算します。

2.弁護士費用

立退料を貰う側も、有利に交渉を進めるために弁護士を立てることがあります。この場合にも、その所得の性質に応じて、収入を得るために支出した金額などとして認められます。

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