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275.継続取引と本人の判断力低下
【事 案】 Xは昭和7年生まれ。 平成28年にアルツハイマー型認知症の診断。長谷川式簡易知能評価スケールでは14点。 平成20年9月に要介護3、同年11月ころからショートステイを利用し、平成25年6月に介護老人保健施設に入居。 平成21年12月ころからは... -
274.認知症を有する者による遺言の有効性
【事案】 Aには子供XYBの3人がいる。 Aは大正7年生まれである。 Aは昭和56年、本件の土地を購入した。 Aの子供Yは、大学医学部を卒業して医師をしていたが、Aが購入した本件土地に2階建ての建物を建て、Yの診療所を開設するとともに、同じ建... -
273.令和3年民事基本法改正(その5)
今回は、土地建物の財産管理制度の見直しに関しての法改正の説明をする。 1.所有者不明土地・建物の管理について (1)土地について (イ) 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属するときは... -
272.令和3年民事基本法改正(その3)
今回は、令和3年の民事基本法改正のうち、共有に関係する部分の説明をする。 A 共有物の利用について ①使用関係(249条) 共有物を使用する共有者は、別段の合意があるときを除き、他の共有者に対して、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負... -
271.令和3年民事基本法改正(その2)
【はじめに】 今回は、令和3年の民事基本法改正のうち、相続に関係する部分の説明をする。 A.相続登記申請等の義務化について ① 相続登記については、従前、登記をつける義務はなく、また、設定するとしても登記費用(登録免許税)が高いことなどから... -
270.平成3年民事基本法改正(その1)
【はじめに】 今回は、令和3年4月21日に民事に関しての基本法の改正があったので、その改正のうち「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」についての説明をする。今回の改正の残りである民法等の改正は追って紹介したい(所有不明... -
269.封筒に記載のある自筆証書遺言
【事案】 Aには妻Bと子供XZがいる。 Aは平成25年12月13日、自筆証書遺言を作成した。 Aの死亡は平成31年3月であり、Bの死亡はその前年の平成30年9月である。 Aの作成した遺言書については、令和元年6月に家庭裁判所で検認手続きがなされた。 そ... -
268.売買契約における確定測量図交付の意味
【事 案】 ◎Ⅹは所有している土地をYに売却。 契約日 平成29年2月11日 代 金 7500万円 手付金 350万円 決済日 平成29年5月29日 違約金 代金の10パーセント(750万円) その他の内容 売主は買主に対して、残代金支払日までに隣地所有者の立会いを... -
267.死亡危急時遺言について
【はじめに】 今回は死亡危急時遺言の説明をします。死亡危急時遺言とは、疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者がしようとする遺言の方式です。 テレビドラマなどで、病室で死期の迫った方が、人々の見守るときにベッド上で財産などのことを述べ... -
266.遺留分減殺請求と遺言執行
【事例】 AはBと昭和50年3月に養子縁組(Aには実子がいない)。 Aは平成20年10月に、Aの財産全部を包括してⅩに遺贈すること、並びにこの遺言の執行者としてYを指名する旨の公正証書遺言を作成。 Aは平成28年3月に死亡。 BはⅩに対して、平成28年... -
265.放置車両の撤去について
【はじめに】 今回も適当な裁判例がないので、私有地に放置された車両の撤去について考察したいと思う。ただ、はじめに駐車場契約をしたのに駐車料を支払わないため、契約を解除した場合を説明する。 契約を解除したのだから、借主は駐車スペースから車両... -
264.不在者、失踪宣告、公示送達について
【はじめに】 今回は適当な裁判例がないので、交渉や裁判の相手方の所在や行方が不明である場合の対応について説明したい。 建物の借主が荷物を残したまま行方がわからなくなったとか、遺産分割の相続人が生存しているかはっきりしないなどの相談が多い。...