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231.不動産と商事留置権について
はじめに 今回は民事留置権及び商事留置権について説明したいと思う。 まず、平成29年の最高裁判所の判決があるので紹介をする。 事 案 XとYはそれぞれ事業を営む会社であり、土地所有者XはYに対して、土地を賃貸していた。 XY間の土地賃貸... -
230 . いわゆる空家特措法について
はじめに 今回は適当な裁判例がなかったので、平成26年に成立した、いわゆる空家特措法(正式には空家等対策の推進に関する特別措置法)についての説明をする。 法律の目的 適切な管理がなされていない空家等が、防災、衛生、景観等、地域住民の生活環... -
229.遺留分減殺請求について
はじめに 今回は適切な判決がなかったので、相続開始に あたって、今ではあたり前となっている遺留分減殺請求についての説明をしたい。 権利者 遺留分を有する者は、兄弟姉妹以外の相続人である。直系尊属のみが相続人のときは、相続財産の3分の1、... -
228 . 秘密証書遺言等について
はじめに 東京地方裁判所平成29年4月25日判決では、秘密証書遺言の効力が争われている。 事案は作成された秘密証書遺言の署名が遺言者のものか否か、遺言書作成のときに遺言者の判断能力はあったのかである。 これについては、署名は遺言者のものであ... -
227 . 共同相続された預貯金の扱い(差戻審)
事 案 本件は本誌平成29年2月号で紹介した最高裁判所の事案(平成28年12月19日大法廷決定)の差戻審の決定である。 事案はやや複雑であるので、本誌平成29年2月号と同一の事案で説明したいと思う。 XはAの弟の子でAと養子縁組をしている。 Y... -
226.民事裁判における訴訟物について
事 案 YはAに平成4年に金7億円を貸付ける。 YはXとの間で、平成6年に債務弁済契約公正証書を作成。貸付金額は1億1,000万円で、これを分割して返済する旨の内容になっている。 このXY間の公正証書であるが、この公正証書を作成する際に、AがY... -
225.相続人でない者への特別受益について
はじめに 今回は相続が発生した場合の特別受益の問題点のうち、相続人でない者への特別受益のことを検討してみたい。 民法903条は、共同相続人のうちで、被相続人から相続人が遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受け... -
224 . 賃料増額請求と共有建物
事 案 本件建物はCDが新築し、持ち分は各自2分の1。 その後、Y社が設立され、取締役はCとD。 CDは本件建物をY社に賃貸し、賃料は平成15年ころは月500万円(税込み)。 Y社は本件建物の一部を別の会社に転貸している。 共有者のひとりであるC... -
223.相続における特別受益について
はじめに 今回は相続における特別受益の説明をしたいと考えます。 民法903条は、共同相続人のうち、被相続人から遺贈を受け、または婚姻もしくは養子縁組のため、もしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、遺産分割にあたり相続分の計算に... -
222.預貯金債権と相続について
はじめに 今回は適当な裁判例がなかったので、昨年12月に出た預貯金と相続に関しての説明をしたい。 平成28年12月19日の最高裁決定で、普通預金、通常貯金、定期貯金については、共同相続をした場合には、当然に相続分に応じて分割されることはなく...