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291.工作物責任について
【はじめに】 今回は適当な裁判例がないので、現在相談を受けている案件を前提として、土地の工作物責任に関する説明をしたいと思う。 【事 案】 Aは土地を所有し、駐車場として土地を付近の住民に1台分ずつ貸している。全体で30台くらいになるが、1列... -
290.令和3年民法等の改正のその後について
【はじめに】 今回は令和3年の民法その他の法律の改正に関連して、その後の登記手続きやその他の法律に関しての説明をする。 令和3年の民法その他の法律の改正は、所有者不明土地の発生をなくすためのものであることは、すでに本書をはじめ多くの文献等... -
289.養子縁組の無効
【事案】 Aは4男2女の6人兄弟姉妹であり、Aは二男、Yは四男である。 Aの父母はすでに死亡している。 Aは二男であるが、A家の跡取りになることを、Yを含めた他の兄弟姉妹は同意していた。 Aは平成2年1月に砂利販売等を目的とする会社を設立し... -
288.親子関係不存在の訴え
【事案】 AB間の子は戸籍上CDEの3名である。(A・Bはすでに死亡。) Dは平成29年に死亡したが、配偶者も子もいない。(本件はDの相続に関する事案である。) CとEは、Dより先に死亡しており、Cには3人の子、EにはXともうひとりの子がいる... -
287.遺言執行者の預貯金の払戻しと遺留分減殺(改正前)
【事 案】 Aには前配偶者との間にCDE3人の子がおり、AはBと再婚したが、子供はいない。 Bには兄弟姉妹の子Xがいる。 AはY(郵便局)に貯金を有している。 Aは令和元年6月に死亡したが、平成29年に公正証書遺言を作成していた。 その公正証書... -
286.保証会社による賃貸借契約の解除
【はじめに】 令和4年12月に最高裁判所が、保証会社と賃借人等との間の契約について注目すべき判決を下しているので、今回はその案件を紹介したい。 【事 案】 A社は賃貸住宅の賃借人の委託を受けて、賃料等の支払債務を賃貸人に対して保証する会社であ... -
285.負担付き遺贈について
【事案】 今回は負担付き遺贈について説明する。遺言のなかには、特定の財産を取得させるとともに、取得する者(受遺者)に対して一定の負担を課すものがある。これを負担付き遺言という。 ただ、受遺者が取得できる財産に比べて負担の方が大きいときは、... -
284.相続人による預金の引き出し
【事案】 今回は事実関係や預金金額等が複雑であるので、事案を簡単にして裁判所の考え方を解説したい。 Aには亡妻との間にXYの2人の子供がいる。 Aは平成26年10月に死亡したが、YはAの生前にAの預金をAに無断で引出しており、その金額は9500万円... -
283.特別縁故者の財産の分与請求
【はじめに】 今回は特別縁故者の財産の分与請求に関する判例を紹介する。 民法958条の3第1項「 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故が... -
282.受遺者の死亡と遺言の効力
【事 案】 甲には亡配偶者との間に乙、X1、丙、X2の4人の子供がいる。 甲は平成2年6月22日付で公正証書遺言を作成した。 遺言書作成時、甲は79歳であった。 甲の財産は以下である。 (1)A地 甲5分の3、X25分の1、丙5分の1(2)B地 甲...